塾全協通信2024年6月号

塾全協通信6月号を掲載いたします。ご覧くださいませ。
(下記サムネイル画像をクリックでPDF表示)

一部抜粋

東日本ブロック主催研修会 大学入試を考える会

日時:2024年5月12日(日)15:30〜17:00
場所:アットビジネスセンター池袋前 別館 802
講師:松岡茂氏(株式会社ライブロード代表取締役)
テーマ:今こそ高校部を新たな運営の柱に
レポーター:中村基和
【講演概要】
 ちょっと考え方を変えるだけで高校部が十分一つの大きな運営の柱になり得る。大学入試は2021年に変わったが、今度2025年から大学入試は更に大きく変わる。
 大学入試には3つの選抜方式がある。2021年に文科省は学力の3要素(①知識・技能、②思考力・判断力、③主体性・多様性・協同性)をもって学力を判断して行こうと言うようになった。②思考力・判断力は高3になってからでは遅い。③主体性・多様性・協同性は、高校の成績、志望理由書、活動の報告書、この「活動の報告書」が一番見られている。国立大学の一般選抜方式では大半の調査書にこの③を点数化している。①の得点を③で逆転してする生徒も現れている。

大学入試における3つに選抜方式

(1) 総合型選抜(旧AO入試):面接などを通して学校が求めるアドミッション・ポリシーに合った人材を確保していこうというもの。
(2) 学校推薦型選抜:主に高校での成績が評価される。この中に指定校推薦が入っている。
(3) 一般選抜:入学試験。
2023年の春、国公立市立合わせて入学した生徒の50.8%が総合型選抜、学校推薦型選抜で入っている。何故そういったことになったかと言うと、知識・技能だけでは判断しないよという方針が出たから、各大学、総合型選抜、学校推薦型選抜の募集人員枠を広げてきているからである。ということは、当然一般選抜の枠を狭めてきていることになる。
ある予備校では高3の6月までに各科目の各単元を全部終えている。夏休みは入試対策をしている。9月から始まる総合型選抜をポイントとして前倒しに進めている。

総合型選抜について 

国公立は共通テストも見るので年が明けてからになる。偏差値50位の私立大学は、エントリー▶面談▶出願▶選考▶合格発表 のパターンをよく採っている。

受験は9月からになった!

だから早くから始めなければならない。
総合型選抜での審査書類…調査書、志望理由書、自己推薦書、活動報告書、学習計画表。この中で今文科省が一番注目しているのは活動報告書。3年間何をやってきたのかをしっかり表現できるかということである。生徒が書いたこれらを先生がただで見てあげるのは勿体ない。「うちはこういうのを添削してあげるよ」というコースにすれば良い。総合型選抜対策に特化した予備校さえある。商売になっている。書店で売っている「書き方」を読んで書いた物はすぐわかる。

小論文について 

大学で小論文を出題しているところがあるが、実は採点されていない学校が多い。なぜかというと、書き方は自由であるから、それを合っている、合っていないと誰が判断出来るのか…ということである。何を観ているかというと、減点方式で「書き方」を観ている。つまり小論文の書き方を知っているかいないか、勉強しているかしていないかを観ている。特に理系の大学は殆ど書き方しか観ていない。理由は、小論文の書き方を知らない学生が多いが、大学に入ってからいちいちそれを教えていられないからである。

学校推薦型選抜について

1、2年生の成績が大切。3年生は1学期の成績しかない。日ごろの学習(全科目)が大切。指定校推薦は必ずしもあるわけではない。指定校推薦の枠を広げたために大学での学力が低下した例もある。関西学院はこの4年間、指定校の枠をどんどん狭めている。

一般選抜について

 例年から共通テストの科目が変わる。まず社会科。地歴・公民系が大きく変わる。国公立は社会科を4科目(教科書4冊)やらなければならない。「地理総合、歴史総合、公共」は受験科目として採用しない大学があるのでとらない事を勧める。「公共」は学校によってやることが異なり、教科書を全部やっていない学校が多いので共通テストには不利。簿記はなくなり情報Ⅰが必修になる。国語は80分から90分に変わる。古文・漢文の問題に関しては今まで通りに知識・技能の問題が多い。知ってから解ける。したがってまず古文・漢文をやる。残った時間で45点配点の1番、2番をやる。3は記号だけだから当たるも八卦。まともに読んでいると文字量が多く時間が足りなくなる。数学は従来は5題中4題選んで60分。今度から7題中6題選んで70分。当日は7題中1題やらないのを選んで、その問題は読まない。全部読んでいると時間が足りなくなる。情報1は学校でやる範囲が全部出題される。国立はほぼ100%が利用。公立は選択で80%位。「プログラミング」の部分が正答率が低い。全科目中の配点は大学によって異なる。共通テストの新しい科目は始めの年の得点率が高い。リスニングが最初に出された年は得点率が7割。情報もそれくらいになりそう。
 国公立の一般選抜は科目が多いのがネック。私立は一般方式と共通テスト利用型というのがある。
 1点が合否を大きく左右する。たとえば2023念の熊谷大学の一般選抜では、合格ラインに1点から4点足りなかった受験生が100人いた。
 苦手科目の放置は危険。極端な苦手科目は得意科目の足を引っ張る。私立は1科目でも落とすとしんどい。

これからの学習塾に求められること 

早い入試になったため、場当たり的な指導はダメ。3つの入試のどれに標準を合わせて何をしていくかという事をしっかりやっていなければならない。カリキュラムが組めることが必要。スタートは中3で高校入試が終わってから。高1生は高1の11月に高2、高2生は高2の11月に高3のスタート。そうでないと物理的に時間が合わない。全科目は無理でも1科目でもやっていく必要がある。
 英検は必要。2級までならほぼコツだけで取れる。

コメントを残す