塾全協東通信「3月号」を追加いたしました
塾全協東通信のページに
2021年3月号を掲載いたしました。御覧くださいませ。
『ブラックバイトと呼ばれないために』第2回
《概要》
どこの企業でも働く人の就業規則での関心は労働時間、賃金、有給休暇。
〇 労働時間
1 始業時刻の10分前、20分前までに出勤するのも労働時間?常識の範囲では?
「絶対に30分早く来て授業の準備をしてください」と言ったらこれは労働賃金になる。就業規則に「労働時間としてカウントしない」と明記しておく必要がある。
2 勝手に早く出てきたり、必要ないのに遅くまで残っていたり。これも時給の対象?
頼みもしないのに遅くまで残っている人がよくいるが、こういう人が経営者とうまくいかず退職して行った場合は、後でこの時間の分を請求してくることがある。「そんなに早く来ておしゃべりばかりしないで」とか「いつまでもいないで早く帰って」などと言っておかないと、労働時間にカウントとされることがある。黙認大厳禁!
Q:タイムカードとの兼ね合いはどうなっているか?
A:就業規則にタイムカードに押された時刻は労働時間ではないと宣言して欲しい。経営者や上司が必要と認めた時刻を労働時間と認めるという様なディフェンスの文章を就業規則の中に入れていって貰いたい。
Q:1分単位で労働時間を計算する必要があるか?
A:うちで一部上場の会社も何社かあるが、1分単位で計算する会社は1社か2社。大体15分丸め。
3 授業のための準備時間、終わって日報を書く時間、下調べやテストの採点、すべて労働時間?(時給の対象?)
準備時間や日報や掃除がmustであると言うことになると労働時間となる。準備をしなければあんたと契約しないというようなきつい仕置きがない場合は労働時間にしなくてもよい。
Q:家で何時間準備をしているか分からないが….
A:知識の仕込みという意味では労働時間に入れる必要はない。塾の設備を必要とする場合は労働時間と認められるが、そこはなかなか判断しがたい。
Q:うちは教室外での授業準備は認めていない、家で準備をした場合は労働時間として認めていない。
それは雇用契約書に書くべきか?
A:書くべきである。
4 休憩時間も時給の対象?
場所と時間と行動に何も制限がないものは休憩時間であるから時給は発生しない。しかし、「休憩時間だけど電話番してね」と言ったらグレーゾーンになる。たまたま電話に出ちゃった程度は休憩時間だと言える。
休憩時間は6時間働いたら45分の休憩を取らせなければならない。
〇 有給休暇
5 アルバイト講師にも有給を取らせないといけないのか?
一定の条件をクリアしていれば、本人から「有給休暇を取りたいです」と言ってきたときに、「はぁ〜、何言ってんの?」などという対応をしてはいけない。初回目は、半年間8割以上の出勤率をこなしている場合は有給休暇を付与しなければならない。2回目以降は過去1年間の出勤率を見る。以後1年おきに見る。
Q:有給休暇の付与日数は?
A:正社員の場合は半年で10日間。アルバイトの場合は週に働く日数によって階段刻みに決まっている。
6 有給を取られては困る日に有給を取ると言ってきた。取らせなくてもいい?
言ってきた時期を変えさせる時期変更権というものが経営者にはあるが、この時期に有給を取られたらうちの塾はオープンできない、大ピンチという切迫度がない限り時期変更権は有効でない。ここで考えられることは2つあるが、一つは「お願い」。「ちょっとこの日は本当に困るのよ。何とか他の日に変えて貰えないかしら?」みたいな、本人とそういう話をする。最終的にやっぱりNoだと言ったら、それはそこで引き下がるしかない。
7 その日の朝に連絡してきて、「今日、休みます。有給にします」と言ってきた。こんな時も有給にしないといけない?
朝寝坊して今日は有給休暇にしてくれと言われた場合、その日の始業時刻までに連絡したら有給休暇を取らせなければならない。就業規則に「(例えば]遅くても3日前に申請すべき」と明文化しておくのが一つ。就業基礎に職務規定を作ルのもディフェンスの一つである。
Q:固定給の社員だが、塾としてはお盆期間に休みになっているが、それを彼に対する有給休暇ととっても良いのか?
A:それは承諾と言うことで中、うちのルールをどう構成するかと言うことになる。夏休み1週間が休日と言うことに決まってしまっていると、そこで休んだところで有給休暇と言うことにはならない。
Q:アルバイトに有給を与える場合どのくらい与えれば良いか?
A:過去の実績と言うことで平均値を取るしかない。
8 「1カ月後退職します。明日から全部有給を使います。」と言ってきた。シフトが入っているのに!阻止できる?
「退職日を変更できないの?」と相談するか、有給休暇を買い取りするしか手がない。
〇 雇用契約書・就業規則
9 本当に必要?経営側にとっていいことあるの?
10 就業規則があったら、権利主張されるだけでは?
就業規則は本当に必要である。労働基準法では働く人が10人以上いれば就業規則を作成して届け出ろと言っている。でも、うちは10人以内だから就業規則は要らないよねなんて言っていると本当に痛い目に遭うことがある。就業規則がない組織でスタッフの人が使い込みをした、意図的に生徒の情報を他のところに持って行ってしまった、こういうことでさえもクビに出来ない。懲戒処分を行うにしても解雇を行うにしても就業規則にこういう場合は懲戒処分を行うよ、解雇を行うよ…そこがないところでは手出しが出来ない。一般的には使い込みをしたらクビよねとクビにしたら逆にやられちゃう。「やられちゃう」とは和解金が3か月分から6か月分。それから凄く不毛な時間、不愉快な時間というのが経営者を待ち構えている。やはり規則というものを作るとやたら権利主張をする人ばかりになってしまうと考える日値がいるが、それは違う。経験値から。就業規則があろうとなかろうと労働者達は労働基準法でしっかりと守られているから、むしろ経営者を守るディフェンスツールとしての就業規則、これは人数に係わりなく必要だと思う。もう一言就業規則にあったらやられずにすんだのになというのがある。
Q:従業員がちょうど10名の場合は就業規則を労働基準局に届けなければならないのか?届けない場合ペナルティはあるのか?
A: ペナルティはない。近日中に提出してくださいという行政指導を受けるくらい。労働基準局に届けたから有効と言うことでなく、皆さんはちゃんと開示したと言うところで有効性が出る。
Q:今持っている雇用契約書、就業規則を見て貰う場合はいくらかかるか?
A:通常(合わせて)10万円ちょうだいしている。
Q:最初から作るとなると?
A:打ち合わせの回数も2回、3回あるから20万というのが目安の金額。